第14回疫学セミナー

教科書で基本を学び、最新のNEJM論文を読み解く

22年ぶりの日本発NEJM疫学論文 / バイアス・交絡・相互作用(1)

 

ごあいさつ

 
今回のセミナーでは、NEJM2023年3月30日号に掲載された、生まれつきの遺伝子変異とピロリ菌感染が胃がんリスクにおよぼす影響を調べた、日本発の症例対照研究の論文を取り上げます(論文リンク)。日本人研究者が日本で行った疫学研究の論文がNEJMに掲載されるのは、私の知る限りじつに22年ぶりの快挙です。
 
論文は、生まれつきの遺伝子変異とピロリ菌感染という2つの曝露要因が重なると、それぞれの曝露要因が単独で存在する場合よりも、胃がんリスクの上昇がより大きくなることを明らかにしました。曝露要因の相互作用(interaction)と呼ばれる現象です。
 
相互作用には2つの考え方と解析方法があります。著者らは、2つの解析を行い、一方では統計的有意差あり、他方では統計的有意差なしの結果だったにもかかわらず、遺伝子変異とピロリ菌感染に相互作用ありと結論しています。どう考えればよいでしょうか?
 
今回の相互作用は、曝露要因1、曝露要因2、健康アウトカムという3つの変数が関わる現象です。その意味で、曝露要因、健康アウトカム、交絡要因という3つの変数が関わる交絡と、共通する部分があります。
 
セミナーのほんらいの順番としては、バイアス・交絡についてくわしく解説した上で、相互作用を説明することが系統的です。けれども今回は、バイアス・交絡はごくかんたんに説明し(後日くわしく説明します)、相互作用について説明することで、22年ぶりの日本発NEJM論文の意義と問題点を解説します。
 
セミナーでは、予習を前提とせずに解説を行います。また、加減乗除を超える数式は示さず、基本概念や方法の根底にあるイメージを理解できるよう説明します。
 
疫学の基本を、初心者として学びたい方。あらためて系統的に学びなおしたい方。ご参加をお待ちしています。
坪野吉孝(セミナー講師)
 
開催日時:2023年5月27日(土)13:00 - 14:15 開催形式:Zoomセミナー・ライブ配信とオンデマンド視聴(セミナー後28日間) 講  師:坪野吉孝(東北大学大学院客員教授)(略歴は下記)
 
 
(参加費) 私費参加 2,000円
公費参加(研究費・経費等) 10,000円
(お申し込み) 下記URLまたはQRコードよりお申込みください
申込締切:2023年5月27日(土)13:00
 
(使用する教科書と今回の該当箇所)
『疫学―新型コロナ論文で学ぶ基礎と応用』(坪野吉孝、勁草書房、2021)
「第Ⅰ部基礎編 6バイアス 7交絡」 (p26 - 33)
 
 
(講師略歴) 医師・博士(医学)。1989 年東北大学医学部卒業。国立がん研究センター、ハーバード大学公衆衛生大学院などを経て、 2004 年東北大学大学院教授(医学系研究科臨床疫学分野・法学研究科公共政策大学院)。 2011 年より精神科臨床医。 現在、東北大学大学院客員教授(医学系研究科微生物学分野)・早稲田大学大学院客員教授(政治学研究科)・国立がん研究センター客員研究員(予防研究部)。 筆頭著者の論文としてNEJM、JAMAなど。 NEJM日本国内版監修。
 
(その他) ・Zoom画像の録画や音声の録音は控えてください
・領収書は、支払い完了後に自動送信されるメールよりダウンロードいただけます
・参加証明書は、支払い完了後に自動送信されるメールより、セミナー終了後にダウンロードいただけます
 
(事務局・問合せ) 株式会社エピデミア 疫学セミナー運営事務局
 
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